2022年7月29日金曜日

第12回 ピカソ『アヴィニヨンの娘達』『ゲルニカ』

 西岡文彦先生の西洋美術史講座、今回は最終回、ピカソでした。そしてまとめ。

西岡先生は『美術を生き方と重ねて見ていく』、という美術の見方を教えてくださいました。

ピカソの芸術はピカソだけで生まれたのではなくて、ピカソの前にも美術があってピカソはその美術の流れの中にいます。


ポール・セザンヌ
『ジョワシャン・ガスケの肖像』
1896-97年
プラハ国立美術館
一筆一筆 面を刻み込んで描いていく



Stanislav Traykov, Niabot (cut out) [CC BY-SA 3.0 ]
ミケランジェロ ヴァティカンのピエタ
(ピカソ、ゲルニカに関連して。。)

      

時代が求めていた美術、その芸術家の生活(生活のための収入元があるか)なども美術を見るヒントです。

シャバンヌ
貧しい漁師
1881
オルセー美術館
(ピカソ、青の時代の頃はシャバンヌが時代の寵児だった。当時の建造物の壁画を多く描いていた。)


アヴィニヨンの娘達(1907)(外部リンク)は生活費に困らない目途がついて描かれた作品なのだそうです。ピカソは自分を売るための策略家でもあったそうです。

また、ピカソの女性関係・・通常の倫理では許されないところが芸術家には許されていること、ピカソに限らず、一般社会が自制して言えない、禁じていたようなことも 文芸、芸術ならば、表現できたりしてきたことについても触れられました。

新百合ヶ丘の美術講座はこれから2か月夏休みがあります。そして秋からまた新しい講座が始まります。この休みの間に先生のお話をもとに 講座の復習もしてみたいです。

先生おすすめの本をいくつかご紹介します。

もっと知りたいゴッホ
圀府寺 司
東京美術
画像はゴッホ、糸杉と星の見える道、1890、クレラー・ミュラー美術館

もっと知りたいピカソ
大高保二郎、松田健児
東京美術
(画像はピカソ、泣く女、1937、テート・モダン、ロンドン)

ゴッホの絵本、うずまきぐるぐる
結城昌子
小学館
画像はゴッホ、星月夜、1888-89、ニューヨーク近代美術館

ピカソの絵本、あっちむいてホイ
結城昌子
小学館
画像はピカソ、座る女(部分)、1937,パリ国立ピカソ美術館

このほかにも本を紹介していただきました。

Zoomでの配信もあります。

自宅からも受講できますので

遠方の方も是非お申込みください。


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2022年7月24日日曜日

第11回 ゴッホ『ひまわり』『烏のいる麦畑』

 西岡文彦先生の西洋美術史講座、ゴッホ。

今回もいろいろなゴッホにまつわるお話がありました。

先生がおっしゃられているように 先生に紹介していただいたことを心にとめながら、自分で調べてみると もっともっと楽しめるように思いました。


パリでゴーギャンとお互いに絵を交換した。ゴーギャンに上げたひまわりの絵。

ゴッホ
ひまわり
1887
メトロポリタン美術館


SOMPO美術館(新宿)のひまわり。今度行く機会がありましたら 先生が言及された「黄色」の色味と右上の花の真ん中の芯の部分にも注目したいです。


ゴッホ
ひまわり
1888
SOMPO美術館

ひまわりを描いているゴッホ。 実際は描いたひまわりの絵を模写しているが 本物のひまわりを写生しているように描いている、とのこと。ゴッホとゴーギャンとはプロテスタントとカトリックと、宗教に対する考え方も違うそうです。

ゴーギャン
1888
ひまわりを描くゴッホ
ゴッホ美術館



信仰も感じられる麦畑。亡くなった年1890年。

ゴッホ
1890
荒れ模様の空の麦畑
ゴッホ美術館

『カラスのいる麦畑』は亡くなる直前の頃に描いたといわれています。

ゴッホ
1890
カラスのいる麦畑
ゴッホ美術館

ゴッホが麦畑を描いた場所。オーヴェル=シュル=オワーズ, イル・ド・フランス(←地図リンク)

訪れるとそこにはゴッホの絵『カラスのいる麦畑』のパネルがあるそうです。麦畑が海のように感じられたそうです。ゴッホと弟テオの墓のすぐそば。


先生のおすすめのゴッホの映画はこちら。映画で使われているゴッホの絵は本物だそうです。


『炎の人ゴッホ』。カーク・ダグラス主演。予告編。(英語)。リンクしてみました。



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2022年7月15日金曜日

第10回 ルノワール『ぶらんこ』『浴女たち』

 西岡文彦先生の西洋美術史講座、今回はルノワール。

ルノワールはじめ印象派は現在とても人気がありますが、ルノワールの若かった時代は印象派は酷評されていました。売れなかった。

イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像も作風が新しすぎて注文主に不評で飾ってもらえなかったとのこと。

ルノワール
イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
1880
ビュールレ・コレクション、チューリッヒ



細部


髪の細部

イレーヌちゃんの家族に求められていたのはこんなタイプの絵。母親の肖像画。

カロリス・ドュラン
ダンヴェール夫人像
 1874
シャン=シュル=マルヌ城


今回はルノワールの青春時代のお話が染み入りました。

13歳から磁器の絵付けをして働いていた労働者階級出身のルノワール。

絵付けの仕事がなくなり、画家を志し、ほかの芸術家たちと仲間になっていったルノワール。恋愛と芸術家の聖地でもあったモンマルトルで過ごした お金はなかったが夢があるボヘミアンとしての青春。

そのころ アンリ・ミュルジェール『ボヘミアン生活の情景』という本が出版されていたそうです。

・壁に アンリ・ミュルジェールの顔の落書き。

ルノワール
アントニーおばさんの居酒屋
1866
<https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
ストックホルム国立博物館

当時の恋人 リーズ・トロイ。

ボヘミアン的風貌の彼女をモデルにして絵を描いています。

ルノワール
夏に、習作(ボヘミア女)
1868
旧国立美術館 (ベルリン)



ルノワール
1872
アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)
国立西洋美術館 東京

リーズがモデルの(あまり印象派的ではない)古典題材のサロン風の絵や

生々しい官能的な絵も紹介してくださいました。

リーズがほかの男性と結婚し 別れた後は一切彼女をモデルにした時のような官能的な絵は描かなかったそうです。。


シャルル・アズナヴールのLa Bohème (リンク)

シャンソンを聞かせていただきました。

 

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2022年7月8日金曜日

第9回 モネ『印象 日の出』『睡蓮』

西岡文彦先生の西洋美術史講座、モネ『印象 日の出』『睡蓮』についてでしたが、画家として描く人でもある西岡先生ならではの説明が印象に残りました。


風景画家ブーダンがモネに屋外制作を勧めました。モネの最初の風景画。『ルエルの眺め』モネ17歳。

この絵から始まってモネは何を選択し、どう成熟していったのか。

 

モネ
ルエルの眺め、ルアーブル
1858
埼玉県立美術館(丸沼芸術の森より委託)

屋外制作の様子

ジョン・シンガー・サージェント
木の下に腰掛けて描くモネ 1885
テート・ギャラリー ロンドン

ルノワール
アルジャントゥイユの自宅の庭で描くモネ
1873年
ワズワース・アテネリウム美術館

↑モネの足元にあるのは日傘。画家はこんな風↓に使っています。

カミーユ コロー 1871の写真

『ラ・グルヌイエール 』

モネとルノワールは並んで絵を描いています。

風景に興味のあるモネ。人間に興味のあるルノワール。

2人で描いたこれらの作品については「発表はまだ早いよ」、という手紙を交換して、その年に公開されたのではないそうです。

クロード・モネ
ラ・グルヌイエール 
1869
メトロポリタン美術館


ルノワール
ラ・グルヌイエール
1869
スウェーデン国立美術館


モネは色を「カンバスの上」で油絵の具を混ぜて作っていたりもするのだそうです。

また、黒を表現するのに「黒」の絵の具は使わなくなっていったそうです。美術館で見る機会があったら確かめてみたいと思います。

第一回印象派展で発表された『印象 日の出』。

モネ
印象 日の出
1872
マルモッタンモネ美術館

光が美しい『庭の食事』

モネ
庭の食事
1886
オルセー美術館

ほかの作品のお話もたくさんしていただきました。
時間によって移り替わっていくモネの連作のお話には感じ入りました。


次期 秋の講座が発表されています。

今回のようにZOOMでの配信も予定されています。

自宅からも受講できますので

遠方の方も次期講座をお申込みください。


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