2020年10月30日金曜日

バロック時代の美術:第4回 プロテスタントの「宗教画」:レンブラントを中心に

 プロテスタントと美術についてのお話がありました。(ルター派、カルヴァン派など諸派あり。)プロテスタントでは、聖書を読むことなどが重要。

個人邸宅用の絵画について、版画のこと、プロテスタンティズムを表明する新しい主題の絵など いろいろなお話、絵の紹介をしていただきました。


★絵がかざられている様子がわかる絵。アントワープの市長ロコックス邸の大広間。

画中画を観察してみます。暖炉の上に飾られている絵はその位置にあるべくように描かれています。(そして、位置としては一番良い。)

フランス・フランケン2世<市長ロコックス邸の大広間>
1630-35頃 ミュンヘン アルテ・ピナゴーク


★レンブラントのエッチング。(刷りによって少しずつ違うそうです。)

個人が持つことができる絵。

レンブラント <三本の十字架>
1653 ドライポイントとビュラン
メトロポリタン美術館


★風俗画に見えますが、聖書を読んでいます。信徒のあるべき姿です。新しい主題。


レンブラント<預言者ハンナ(通称レンブラントの母)>
1631 アムステルダム 国立博物館

★かつてカトリック教会であったゴシック教会が 教会内部壁面真っ白のプロテスタントの教会に変わっています。瞑想を引き出します。牧師の説教が大切。

サーンレダム<ユトレヒトのビュールケルク内部>
1644 ロンドンナショナルギャラリー

エマヌエル・デ・ヴィッテ<デルフトのアウデケルク、説教を聞く人々>
1651 ロンドンナショナルギャラリー

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2020年10月23日金曜日

バロック時代の美術:第3回 対抗宗教改革と美術:カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニー二など

 対抗宗教改革:カトリック教会内部での改革がありました。北イタリアのトレントで公会議がありました。

宗教美術制作についてもカトリック教会からの要請があったのです。

主題や、品位の重視、わかりやすく、写実的で、見るものの心に強く働きかける。。など。


高橋裕子先生からいろいろな画像を見せていただきました。

★カラヴァッジョ。正面の聖マタイと天使は書き直しを命じられ書き直されたもの。

両側の絵は上の窓からの光の効果も考えられ描かれています。

カラヴァッジョ<聖マタイの召命><聖マタイと天使><聖マタイの殉教>
コンタレッリ礼拝堂 1600
ジオビア, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, attraverso Wikimedia Commons


★グエルチーノ <キリストの死を悼む二人の天使>
銅板に描かれた小さい絵。個人用に描かれたものだと思われます。

グエルチーノ <キリストの死を悼む二人の天使>
37cm×44cm 銅板に描かれている
ロンドンナショナルギャラリー 1617-18頃


★下のカラッチの絵も大きくはありません。
個人の礼拝用に描かれたものではないかということです。。絵の前でひざまずいて礼拝するように絵を見上げると、十字架の見え方も違ってくるそうです。

カラッチ<アッピア街道で聖ペテロに現れるキリスト>
77.4×56.3cm
1601~02 ロンドンナショナルギャラリー

★ベルニーニの<聖テレサの法悦>

両側にコルネー家の人たちが礼拝している彫刻があります。上部の窓からは光が降ってきます。一つの劇場のよう。

彫刻だけを写真でみるのとは違います。行ってみなくてはいけませんね。

ベルニーニの<聖テレサの法悦>
1647-52
ローマ、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂コルナロ礼拝堂
Luigi Mancini, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, attraverso Wikimedia Commons


Livioandronico2013, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, attraverso Wikimedia Commons


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その絵を誰がどのように礼拝していたのか考える。今美術館で見ている絵なども、どうしてその美術館にあるのか(どういう理由でルーブル美術館に収蔵されているのか、など。)と考える。そんな視点を持つと面白いそうです。

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2020年10月16日金曜日

バロック時代の美術 第2回 宗教改革と美術:教会用美術の否定と、新しいジャンル(画種)の誕生

 バロック時代に絵画の種類が多様化していきました。

歴史画(物語画)、肖像画、風俗画、動物画、風景画、静物画。

その背景には宗教改革でプロテスタントの地域では新たな宗教美術の制作が否定されたことがあるそうです。でもそのベースとなるものはそれまでの絵画にすでにあったのですね。

片隅にあった絵画の要素が独立していきました。

イコノクラスム

イコノクラズム
イコノクラズム
1570頃 ネーデルランドの木版画
Rijksmuseum, CC0, via Wikimedia Commons

大きい大きい肖像画。ルーベンス夫婦。どこに飾ったのでしょうか?

ルーベンス<ルーベンスと妻イザベラ・ブラント>
1609~10頃 ミュンヘン アルテ・ピナゴーク
 178 cm × 136.5 cm


祭壇画のあちこちに新しいジャンルのはじまりが見て取れます。

ヒューホー・ファン・デル・フース
<ポルティナーリ祭壇画>
1476~78頃 ウフィツィ美術館


部分


部分


部分

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2020年10月9日金曜日

バロック時代の美術 第1回 はじめに:「バロック美術」の定義と講義の進め方

 半年間お休みしていました「美術2新百合ヶ丘」ですが、再開しました!

聴講方法は小田急線「新百合ヶ丘」での会場での聴講、ZOOMでの遠隔聴講、二通りとなりました。学習院大学名誉教授の高橋裕子先生はご自宅からです。これから12回のバロックについてのお話、楽しみです!よろしくお願いします。


今回は「バロック美術」の定義と講義の進め方について。

私たちが見る作品には、①作者 ②注文者 ③受容者 がかかわっています。

高橋先生は②注文者③受容者について、留意して見ていきたいとのこと。

ルーブル美術館にある ルーベンス<マリー・ド・メディシスの生涯>はもともとこのように展示する目的のものだったのではありません。

ルーベンス<マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸 など>
ルーベンス<マリー・ド・メディシスの生涯>
1622-25頃 ルーブル美術館 回廊
Matt Biddulph / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0))

「バロック様式」についていろいろ具体的に画像を見せていただき、説明していただきました。


ボロミーニ<サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ教会>
(天井)
ローマ、1665-67


クラシック(ルネサンス)とバロックの違い。

「あるがまま」と「見えるがまま」

ファン・ヘームスケルク<アンナ・コッデの肖像>
1529,アムステルダム、国立美術館


ベラスケス<アラクネの寓話>
1657頃 プラド美術館

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