2024年4月5日金曜日

中世末期の社会と美術のおさらい

 池上英洋先生の西洋美術史講座、≪じっくり学ぶ美術と文化:ルネサンスと近世≫が始まりました。これから12回よろしくお願いいたします。

今回は中世末期の社会と美術のおさらい、として、中世社会の基本構造について説明をしていただきました。

教皇派皇帝派にわかれる叙任権闘争、

シスマ(教会大分裂)国際ゴシック

十字軍での遠征で伝わった中東、イスラムの文化、貿易、ヴェネツィアについてなど。

政治と文化は関連がありますので ゆっくりと復習してみたいと思います。

ご紹介していただいた画像の中で もう一度見てみたい美しいものを何点か再掲します。

Ambrogio Lorenzetti - Effects of Good Government in the city - Google Art Project
ロレンツェッティ兄弟
善政と悪政の寓意
1338-1340
シエナ プッブリコ宮


Simone Martini 077
シモーネ・マルティーニとリッポ・メンミ
受胎告知
1333
ウフィツィ美術館

The Wilton Diptych (left)The Wilton Diptych (Right)

フランスの逸名細密画家 ウイルトンの二連板

1395年 ロンドンナショナルギャラリー


(Toulouse) Mon seul désir (La Dame à la licorne) - Musée de Cluny Paris
一角獣のタペストリー 連作より
A mon seul desir 我が唯一の望み
1485-1500頃 制作はフランドル地方
パリ、クリュニー中世美術館


Rashid al-Din Tabib - Jami al-Tawarikh, f.45v detail - c. 1306-15
天使ジブリールから啓示を受けるムハンマド
(14世紀,エディンバラ大学所蔵『集史』「預言者ムハンマド伝」載録の細密画)



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2024年4月2日火曜日

2024前期美術2 じっくり学ぶ美術と文化:ルネサンスと近世 オンライン併用

 2024前期 美術2のスケジュールが発表されました。

いつも好評の池上英洋先生の講座です。ぜひお申し込みください。

じっくり学ぶ美術と文化:ルネサンスと近世 オンライン併用

【講師】東京造形大学教授 池上英洋先生

【場所】新百合21ホール

【時間】10時30分~12時00分 (計12回)    

ルネサンスの胎動から終焉までと、その後のマニエリスム時代におけるヨーロッパ社会と美術の関係性をじっくりと見ていきます。コムーネ社会と宮廷化などの構造をふまえながら美術を観ることで、今後の異文化理解や美術鑑賞がより深いものとなるはずです。

アテナイの学堂
ラファエロ
1510頃
バチカン美術館


  1. 4/12(金) 中世末期の社会と美術のおさらい 
  2. 5/10(金) トスカーナ金融業の発展とフィレンツェ社会
  3. 5/17(金) ルネサンス美術の理念と三人の改革者
  4. 5/24(金) 遠近法の発達とメディチ家
  5. 5/31(金) レオナルド・ダ・ヴィンチとフィレンツェ派
  6. 6/7(金) ヴェネツィア派
  7. 6/14(金) 北方ルネサンス
  8. 6/21(金) ルネサンス社会の終焉
  9. 6/28(金) プロテスタント分裂
  10. 7/12(金) ミケランジェロとマニエリスム様式
  11. 7/19(金) 宮廷芸術
  12. 7/26(金) 近世の人々の暮らし 
受講料は かわさき市民アカデミー リンク先でお確かめください。
(聴講生の場合20080円、12回分 会員になるとかなり割引があります。)
申し込みはオンラインで受け付けています。現在受付中。
かわさき市民以外も受講できます。
※ この講座は抽選はありません。

池上英洋先生プロフィール
東京造形大学教授
東京芸術大学卒業、同大学院修了
専門はイタリアを中心とした西洋美術史・文化史。
著書に『レオナルド・ダ・ヴィンチ 生涯と芸術のすべて(筑摩書房)』
『ヨーロッパ文明の起源 聖書が伝える古代オリエントの世界』ちくまプリマー新書 など。
展覧会監修に「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の実像(東京国立博物館、2007年)」など。


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2024年3月22日金曜日

「鏡と歪み」―肖像画に秘められた意味を読み解く

諸川春樹先生による西洋美術史特別講座、「鏡と歪み」―肖像画に秘められた意味を読み解く、が開かれました。

広い会場での特別講座、多くの人に集まっていただき 参加した方々からも 参加してよかった、肖像画を見る目が変わった、歴史を感じた、との声を多くいただきました。

まず、絵画の中で鏡の図像が使われる時に意味するものの説明がありました。
覚えたらよい キーワードは「四枢要徳」「七大罪」


ラファエッロ
三徳擬人像 1511-12
ヴァティカン美術館


パルミジャニーノ 1523-1524年頃
凸面鏡の自画像
ウイーン美術史美術館




鏡の中にどくろが映っている「賢明の鏡」。メメントモリ。
ブルクマイヤー夫妻像が映るはずの凸面鏡にふたつのどくろが映っています。

フルテナーゲル
ブルクマイヤー夫妻像
1529頃

ウイーン美術史美術館

そして、ホルバイン「大使たち」。当時の時代背景、絵画の中に描かれている持ち物とそれが意味するものの説明とともに、歪像で描かれている横向きのどくろをどのように見ていたかを諸川先生の解釈で教えていただきました。

機会があればロンドン・ナショナルギャラリーに凸面鏡を持って出かけたいものです。

ホルバイン
「大使たち」
ロンドン・ナショナルギャラリー
1533

諸川先生 楽しい講座をありがとうございました。

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2024年2月9日金曜日

第12回 盛期中世美術(2) 聖堂装飾

 松浦弘明先生の西洋美術史講座、今回が今期の最後でした。

ギリシャ、ローマ美術では彫刻がありました。その後キリスト教世界となり偶像崇拝が禁止され、丸彫り彫刻は一旦なくなりましたがルネッサンス期には彫刻があります。

新しく大聖堂が建てられると聖堂入口のタンパンは浮彫彫刻で磔刑後のキリストをテーマに装飾されるようになりました。これらのロマネスク、ゴシック期の聖堂装飾がルネッサンス期の彫刻表現へとつながっていく下地だと、画像を使って説明していただきました。

浅い浮彫が時代を経るに従いだんだんと深い浮き彫りになっていきます。浮彫での人像円柱の装飾も始まり、それも例えばランスのノートルダム大聖堂では「独立した彫刻」のようになっていきます。

拡大してご覧ください。

トゥールーズ サン・セルナン聖堂
キリストの昇天
1110頃


ヴェズレー ラ・マドレーヌ修道院
使徒たちを派遣するキリスト
1120-30頃
Gerd Eichmann, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons


モワサック サン・ピエール教会
天上のキリスト
1125年頃
13okouran, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons


彩色されていたことがわかります。天国の門と地獄の門が面白い。


コンク サン・フォア聖堂
最後の審判
1140頃
鵜添, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

サン・フォア聖堂タンパン(上図)のの拡大図 
着色されている
Antoine Garnier, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

サン・フォア聖堂タンパン(上図)の拡大図 地獄の門
Antoine Garnier, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons


6

シャルトル ノートルダム大聖堂
西正面入り口
栄光のキリスト
1150頃


1150頃
シャルトル ノートルダム大聖堂
正面入口周辺


シャルトル ノートルダム大聖堂
南翼廊
1230年頃
Harmonia Amanda, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons


ランス ノートルダム大聖堂。
左 1260頃
右 1300頃


松浦弘明先生 12回の講座、 ありがとうございました。

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2024年2月2日金曜日

第11回 盛期中世美術(1) 聖堂建築

松浦弘明先生の西洋美術史講座、今回は前回の復習と紀元1000年前後の動向--ロマネスク様式の聖堂についてでした。

先週の復習。ベネチアのサン・マルコ聖堂と同じ時代のサンタンジェロ イン フォルミス聖堂。(ナポリ郊外、北東)。こちらにもビサンチン美術にあったパントクラトールのキリストが描かれています。教会の空間をフルに使って福音書のエピソードを展開しています 。これは西洋的。

「読み書きのできない」人のためにエピソードが表されているといわれますが、聖書は「ギリシャ語」「ラテン語」だったため、庶民がわからないのは当然なのだそうです。

サンタンジェロ イン フォルミス聖堂 
(イタリア カンパーニャ州)


同上 内部

正面

聖堂を一周して出口に向かうと最後の審判。紀元1000年頃楽園か地獄か、最後の審判をするためにキリストは再臨するといわれていました。


最後の審判
同上 出口側
1080

キリスト教の歴史として 聖堂での聖遺物の設置義務、聖地巡礼が盛んになってきたこと、第2次建築ブームが起こったことなど説明がありました。

紀元1000年ごろキリスト教的に大変な時期であったのですね。

巡礼路にあるトゥールーズのサン・セルナン聖堂を例にとって半円アーチのロマネスク様式、巡礼者が通常の参拝者の邪魔をすることなく聖堂の中を一巡できる教会プランについてお話がありました。


 map of Mr Manfred Zentgraf, Volkach, Germany, CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons


サンティアーゴ・デ・コンポステラ大聖堂
1077-1211

巡礼教会の トゥールーズ サン・セルナン聖堂


サン・セルナン聖堂 プラン
Jchancerel, CC BY-SA 4.0  via Wikimedia Commons


サン・セルナン聖堂
トゥールーズ
115×64×21m
The original uploader was Felipeh at French Wikipedia., CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons




サン・セルナン聖堂
トゥールーズ
内部

Diego Delso, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

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2024年1月27日土曜日

お知らせ 諸川先生が読み解く『鏡と歪み』-肖像画に秘められた意味を読み解く

諸川先生が読み解く『鏡と歪み』-肖像画に秘められた意味を読み解く

ハンス・ホルバイン
大使たち
ロンドンナショナルギャラリー


ハンス・ホルバインが描いた肖像画「大使たち」(1533年)の中に挿入された髑髏(どくろ)の歪像(わいぞう)表現は、通常斜め右上から鑑賞することになっているが、凸面鏡を使った鑑賞も可能であることを例証しつつ、美術において鏡の持つさまざまな役割や意味について解説します。

2024年3月22日金曜日10時30分~12時00分
    新百合ケ丘 北口 新百合21ホール
先着順で受付けます。(定員200名)
定員になり次第、締切ります。
申込み締切は2024年3月15日(金)

改札から区役所方面へ
左側階段を降り そのまま まっすぐ
突き当たりのビルに入る。
階段降りきったところにホールがあります。

受講料 1,500円(税込み・資料代込み)。当日受付でお支払いください。

(↑リンク)

多摩美術大学名誉教授 諸川 春樹

諸川先生プロフィール
1953年東京都生まれ。
1979年東京大学文学部史学科卒業。 
1988年東京大学大学院人文科学研究科西洋美術史専攻博士課程単位取得満期退学。
1989年多摩美術大学美術学部学科講師。 
1992年同助教授。1996年同教授。2023年同名誉教授。
著書に『ART GALLERY テーマで見る世界の名画 9 神話と物語創造の玉手箱』集英社2018年5月。『バロックの魅力』東信堂2007年3月。『彫刻の解剖学』ありな書房2010年10月 他多数。

・事前申込み制です。申込みをせず当日会場に来られても受講できません。
・1回のお申込みで1名(申込み者)の受講となります。
・お申込み後、ご都合が悪くなった場合は「申込み・問合せ先」までキャンセルのご連絡をお願い致します。





お友達と誘い合わせて絵の謎解きはいかがでしょうか。
お待ちしています。

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新百合ヶ丘にはランチの場所もたくさんあります。


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2024年1月26日金曜日

第10回 西欧におけるビザンティン美術の影響

松浦弘明先生の西洋美術史講座、今回は『西欧におけるビザンティン美術の影響』として ヴェネチアのサン・マルコ寺院を中心にお話がありました。

サン・マルコ寺院
ヴェネチア

ヴェネチアに聖遺物である聖マルコの遺体を運んできた物語。




サン・マルコ寺院
 ヴェネチア 
プラン
Encyclopædia Britannica, 1911, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

聖堂はギリシャ十字プランで建てられていますが、オシオス・ルカス修道院のように三位一体を視覚化しようという考えで建てられているわけではなく、《キリストの昇天》(中央円蓋にあります。)を中心に装飾されているそうです。つまり、みかけはビサンティンだけれど、ビサンティンではないとのお考えでした。

プランを確かめながら天蓋やアーチに描かれているキリスト、物語の場面を説明してくださいました。



キリストの昇天
中央円蓋


西円蓋 
聖霊降臨


東円蓋
パントクラトールのキリスト
12世紀前半


アプス
玉座のキリスト

Prof. Mortel, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で


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