2018年6月29日金曜日

第9回 ゴッホ② フランス時代を中心に

ゴッホは日本に対する憧れが強かったそうです。
アルルを夢の地「日本」であるように思い、移り住んだそうです。

大好きな「タンギー爺さん」の背景には数々の浮世絵が描かれています。

ゴッホ 「タンギー爺さん」
1887夏(パリ) ロダン美術館

「夜のカフェ」という絵では人間の情念を赤と緑で表現しようとしています。

ゴッホ「夜のカフェ」
1888(アルル) イエール大学美術館

「ひまわり」。
アルルにゴーガンを迎えることがゴッホはとてもうれしく、楽しみにしていて、何枚ものひまわりの絵を描き、部屋を飾ろうとしていたそうです。

ゴッホ《ひまわり》
Vase with Twelve Sunflowers
1888 8月(アルル) ミュンヘン、ノイエビナコテーク
「3番目のひまわり」です。

ゴッホ 《ひまわり》
1888.8 ロンドンナショナルギャラリー
「4番目のひまわり」です。

先生のレジュメの「ひまわり」の項目、表に訂正があります。
先生から訂正資料をいただいていますのでこちらに掲載いたします。


画像が小さいのでブログに画像を掲示いたします。
3番目のひまわりをもとに描いたのはこちら。

ゴッホ ひまわり Vase with twelve sunflowers
1889.1 フィラデルフィア美術館
その下が 損保ジャパン日本興亜美術館のもの。

ゴッホ ひまわり 1889・1月 ( 1888 年11-12月か?)
15本
損保ジャパン日本興亜美術館

最後に描かれたゴッホ美術館のひまわりはこちら。
ゴッホ ひまわり Vase with Fifteen Sunflowers
1889.1 アムステルダム ゴッホ美術館


「刈り入れをする人の麦畑」。死神を意味する鎌、そして太陽。聖書からのモチーフが感じられる絵はたくさん描かれています。

ゴッホ「刈る人のいる日の出の麦畑」
1889(サン=レミ) ゴッホ美術館

カーク・ダグラス主演「炎の人ゴッホ」という映画から、激しいゴッホのイメージがついていますが、うずまくタッチばかりがゴッホではなく静かな絵も多い、とのことでした。

最後に「ゴッホの耳―天才画家 最大の謎―」(バーナデット・マーフィー:早川書房)という本をご紹介いただきました。バーナデット・マーフィーさんという美術の先生だった人が膨大な資料から推理したとても面白い本だそうです。



バーナデット・マーフィーさん出演のBBCドキュメンタリー番組も制作されたそうです。

講座の後で先生お勧めのipadのアプリも見せていただきました!

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2018年6月23日土曜日

第8回 ゴッホ① :オランダ時代を中心に

ゴッホ1887年(34歳)ごろまでのお話でした。

先生のお話から、ゴッホの物を学ぼうとする性格が感じられました。

ミレーの「種蒔く人」を ゴッホは聖書の中の「種をまく人」の話と考え、模写しています。

ミレー ≪種まく人≫
1850 ボストン美術館


ゴッホ ≪種まく人(ミレーによる)≫
1881(エッテン) ゴッホ美術館

ランプの光の下で馬鈴薯を食べる人たち。じゃがいもを掘った「手の労働」がわかるように描かれています。

ゴッホ ≪馬鈴薯を食べる人たち≫
1885(ニューネン) ゴッホ美術館

牧師だったゴッホの父親の追悼のために描いた「開かれた聖書のある静物」。ゾラの「生きる喜び」という本と父親所持の「聖書」が描かれ、ろうそくの火は消えています。

ゴッホ ≪開かれた聖書のある静物≫
1885(ニューネン) ゴッホ美術館


33歳の時にパリに来て、印象派を知ってからは「色彩」が変わってきます。
試行錯誤しながら印象主義を学ぼうとしています。
「レストランの内部」という絵ではスーラの点描技法を試しています。
ゴッホ ≪レストランの内部≫
1887(オッテルロー) クレラー=ミュラー美術館

毛糸を使って「補色」など、色の研究をしていたということを聞いて、驚きました。

ゴッホ美術館 毛糸玉の朱漆の箱←リンク


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2018年6月15日金曜日

第7回 ゴーガン②:タヒチの時代を中心に

ゴーガンは絵にいろいろ意味を込めて描いていることがわかりました。

ポール・ゴーガン ≪光輪のある自画像≫
1889 ワシントン、ナショナルギャラリー

≪メイエル・デ・ハーン≫と対になっている絵です。
ゴーガンに光輪があり、蛇とリンゴが描かれています。

ゴーガン ≪愛せよ、されば幸ならん≫
1889、ボストン美術館、菩提樹に彩色
この浮き彫りにもいろいろ意味があり、
右真ん中の女性のポーズは「絶望」を意味し、
下のリンクの「ペルーのミイラ」の形がもとになっているそうです。
リンク⇒《ペルーのミイラ,12-15世紀、パリ、人類学博物館
右上の男性のポーズには性的なイメージがあるそうです。

ボロブドゥール遺跡のレリーフ(部分)
シッタルダ
8c後半~9c初め
(先生に見せていただいたものとは違います。)
By Gunawan Kartapranata [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) 

同じモチーフを違う絵の中で何回も使っています。

ポール・ゴーガン≪異国のエヴァ≫
1890、ポーラ美術館
エヴァがリンゴをもいでいます。ボロブドゥールの≪僧侶たちと会う仏陀≫というレリーフに似ています。(上の写真とは別。ゴーガンは写真所持)

下の絵は耳元にトカゲ、手に花となっています。

ポール・ゴーガン ≪かぐわしき大地≫
1892大原美術館
ポール・ゴーガン ≪ネヴァ・モア≫
1897 ロンドン、コートールドギャラリー


左奥に「鴉」。エドガー・アラン・ポーの「大鴉」という詩が関係しているそうです。
ポール・ゴーガン≪ヴァイマルティ≫
1897、オルセー美術館

鳥の下にトカゲが。。手を大地につけているポーズは何回も描かれているモチーフで
自然と人間の一体感を意味しているそうです。
絵の描き方としては、「右手」が丸太のようになってきています。
後のフォービズムにつながるようです。
≪われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこに行くのか≫
1897

絵は右から左へと読んでいきます。りんごをもいで食べています。
ペルーのミイラの形も見えます。

「月と六ペンス」(モームの小説)の表題の意味も教えていただきました。

今回も充実した時間をありがとうございました。

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2018年6月1日金曜日

第6回 ゴーガン①:初期からポン=タヴァン時代

≪われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか≫
ゴーガンの代表作です。
ポール・ゴーガン≪われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか≫
1897-98 ボストン美術館

この作品の長い題名にゴーガンはどんな気持ちを込めたのか、それを心にとめながらゴーガンのいろいろな作品を見ていきます。

ポン=タヴァンという場所で画家たちが集い、描いた時代。
エミール・べルナールに影響された「クロワゾニスム」という技法、浮世絵の影響。自然と人間との関係。
陶芸もしていたそうです。陶芸作品が時折絵の中に描かれています。

ポール・ゴーガン≪説教の後の幻影(ヤコブと天使の戦い)≫
1888 スコットランド国立美術館
ポール・ゴーガン≪キリスト磔刑図(黄色いキリスト)≫
1889 オルブライト=ノックス美術館

トレマロの磔刑木彫(トレマロ礼拝堂←ポンタヴァンにある)
© Yann Gwilhoù, CC-BY-SA 3.0

ポール・ゴーガン≪メイエル・デ・ハーン≫
1889 MOMA

二冊の本が描かれています。 ミルトンの「失楽園」、カーライルの「衣装哲学」、ゴーガンの絵画にも影響を及ぼしているそうです。
冒頭の絵の題名もここにヒントがあるようです。

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