2020年11月27日金曜日

バロック時代の美術第7回:歴史画と寓意画(ルーベンス、プッサン、クロードなど)

 美術と教養と社会的地位、寓意画、教養人のための美術作品としてのヌード、絵と詩についてなどお話ししていただきました。


画家は「職人階級」ではなく、知識の必要な職業、ということ。

画家の象徴である聖ルカのそばには書物や天球儀(知的活動の象徴)が描かれています。


マールテン・ファン・ヘームスケルク<聖母を描く聖ルカ>
1550頃 フランス、レンヌ美術館

アトリビュートを通して絵を読むこと。教養が必要です。

絵からいろんなことが読み取れます。ルーベンスの<戦争の惨禍>は当時の三十年戦争を描いた寓意画。

ルーベンス<戦争の惨禍>
1637-1638年 ピッティ美術館(フィレンツェ)


イギリスの紳士たちがグランドツアーでイタリアを訪れ絵を見ています。

ティツィアーノの<ウルビーノのビーナス>もルーベンスの<戦争の惨禍>も描かれています。

ゾファニー<ウフィツィ美術館の特別展示室>
1772-8 ウインザー城 ロイヤルコレクション

模範となるような絵を見てそれを踏まえて画家が描いていることや

絵と詩とがつながっていることや、理想的な風景画など いろいろなお話がありました。


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2020年11月20日金曜日

バロック時代の美術:第6回 宮廷のための美術Ⅱ:「宮廷画家」の仕事(ヴァン・ダイク、ベラスケスなど)

 バロック時代の宮廷画家のお話でした。

肖像画には「形」があるそうです。

貴族の肖像や騎馬像では 偉大に見えるポーズ、背景のスタイルがある。

ヴァンダイクはルーベンス工房でも働いていました。ジェノバで肖像画を描く仕事もしていました。

その後イギリスでチャールズ1世に仕えます。

ジェノバの貴婦人を描いた ルーベンス<侯爵夫人ブリジダ・スピノラ・ドーリア>は19世紀に絵を切り詰められました。絵の下絵が残っていてもとの絵の様子(ヴァンダイクが見たと思われる絵)がわかります。


ルーベンス<侯爵夫人ブリジダ・スピノラ・ドーリア>
1606 ワシントンナショナルギャラリー

ルーベンス、<ブリジダ スピノラ ドーリアの肖像のためのstudy>
1606年、ニューヨーク、モーガン図書館&博物館

ヴァン・ダイク<侯爵夫人エレーナ・グリマルディ・カッタネオ>
1623頃 ワシントンナショナルギャラリー

ヴァン・ダイク<狩場のチャールズ1世>
1635頃 ルーブル美術館

騎馬像。

ヴァン・ダイク<チャールズ1世騎馬像> 
1636 バッキンガム宮殿

ベラスケスは軽妙な筆さばき。

ベラスケス<王子バルタザール・カルロス騎馬像>
1635-36 プラド美術館

謎の多い ラスメニーナス。
ヤン・ファン・アイクの「アルノルフィーニ夫妻像」は当時マドリード王宮にあり、ベラスケスは絵画を管理する立場にあったのでその絵を見ていて、ラスメニーナスの絵にも影響があったのではないか、ということです。
ベラスケス<ラス・メニーナス>
1656-57 プラド美術館


収集品のカタログ的な絵を描く宮廷画家もいたそうです。
画中画は現在存在を確かめられたりもするそうです。カーテンがかかっていたりもします。

テニールス<レオポルド・ヴィルヘルム大公の絵画蒐集室
1651 ウイーン 美術史美術館

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2020年11月13日金曜日

バロック時代の美術:第5回:ルーベンス「マリー・ド・メディシス連作」

 ルーベンスは5つの建築装飾に携わったそうです。その中のひとつ、「マリー・ド・メディシス連作」すべてについてのお話をしていただきました。

今はルーブル美術館で展示されていますが、もともとは「リュクサンブール宮殿」の装飾の絵画です。絵と絵の間には窓もあります。

当時の「現代史」について古代神話の神々や擬人像を登場させて政治的批判を避け、面白みのない主題を華麗に劇的に盛り上げ描かれていて、リューベンスは本当に気配りしていたのだなあ、と感じました。

絵画を読み込むとほんとうにいろいろな象徴や下敷きになっている絵があることに驚かされます。

ルーブル美術館では、ゆっくり見る時間もとりにくいようですので、あらかじめ訪れる前に絵を読んでおくのもいいですね。


ルーベンス「マリーの戴冠」


ルーベンス「アンリ4世のアポテオーズと摂政統治の宣言」


ルーベンス「神々の会議」


ヴェルヴェデーレのアポロ
2世紀頃(ローマ時代の模刻)ローマ ヴァティカン美術館
Livioandronico2013, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

(諸川先生が数年前、ルーベンス展を神像など探してゆっくり楽しんだ、とおっしゃっていた理由がよくわかりました。ヴェルヴェデーレのアポロはその頃発掘され有名な彫刻でした。この姿は絵の真ん中で発見できます。)

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