2019年10月25日金曜日

第5回パルミジャニーノ:ひたすら神秘を求めて

パルミジャニーノ(1503-1540)は「パルマハム」やチーズの「パルジャミーノ・レッジャーノ」で有名な イタリア「パルマ」出身です。だから「パルミジャニーノ」という名前なのだそう。 

パルミジャニーノは自分を売り込む作品を持って1524年にパルマからローマに行きます。
その時の作品ひとつがこちら。「オッ」と目を引きます。
32歳の時の自画像ですが若く描かれ、時間の歪み、空間の曲がり、が読み取れます。ローマで画家として採用されるためには目立たないとね、と諸川先生がおっしゃっていました。

パルミジャニーノ 1523-1524年頃
凸面鏡の自画像
ウイーン美術史美術館

パルマに戻ってからの作品、有名な「長い首の聖母」にはミケランジェロの影響、「アンテア」と同じモデルを使っていることがわかります。遠近法無視、左に十字架が描かれているツボ、右側の柱は未完成。

他にもたくさんの画像を見せていただきました。
パルミジャニーノ(1534–40)
ウフィツィ美術館、フィレンツェ

Stanislav Traykov, Niabot (cut out) [CC BY-SA 3.0 ]
ミケランジェロ ヴァティカンのピエタ
 1498年 - 1499年
サン・ピエトロ大聖堂

パルミジャニーノ アンテア
(1530-1535)
カポディモンテ美術館 ナポリ




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2019年10月18日金曜日

第4回ポントルモ;憂鬱な時代に憂鬱な芸術家

「彼が気に入ったとき、気に入った人のためにしか、仕事をしなかった」(ヴァザーリ芸術家列伝より)、ポントルモについてのお話しでした。

ポントルモは デューラーの版画、ミケランジェロ、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂、ラファエッロなどもいろいろ見て参考にしているのですね。そして 素晴らしいデッサン!



ポントルモ キリストの十字架降下 1525-28
フィレンツェ サンタ・フェリチタ聖堂カッポリーニ家礼拝堂


Stanislav Traykov, Niabot (cut out) [CC BY-SA 3.0 ]
ミケランジェロ ヴァティカンのピエタ

「キリストの十字架降下」はミケランジェロのメディチ家礼拝堂の彫刻と関連性があると言われていますが、マリアとキリストは離れています。

システィーナ礼拝堂天井画とも関連あります。身につけている服がなぜかレオタードのような感じだったり。
不安をあおるような顔つき。
下書きでは描いていた「十字架降下のはしご」を省き、かわりに空いた空間に雲を描いています。

部分拡大。


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ポントルモ ご訪問
1528-29
church of San Michele Arcangelo in Carmignano, Tuscany, Italy.


ポントルモ 下書き
デューラー
四人の魔女 1497
ボッチチェリ 春
ウフィツィ美術館
1477年と1480年の間
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2019年10月11日金曜日

第3回 ジュリオ・ロマーノ:ラファエッロの威光の影

 ジュリオ・ロマーノ という名前を知っている人は少ないのではないでしょうか。
ラファエッロの一番弟子だそうです。
師の未完作品「ボルゴの火災の間」など完成させています。

参考文献を紹介していただきました。
講座に参加すると よい資料を教えていただけますよ!

上村清雄 「 ラファエッロと ジュリオ・ロマーノ」 ありな書房


ジュリオ・ロマーノ 
ボルゴの火災の間
1514-17

Giulio Romano [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)]
神々と巨人族の戦い
1524-35頃
テ宮


ジュリオ・ロマーノ
神々と巨人族の戦い

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2019年10月4日金曜日

第2回 ピエロ・ディ・コジモ:原始にもどった芸術家

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッスと同じ年代の「ピエロ・ディ・コジモ」を紹介していただきました。彼は盛期ルネッサンスの画家で、マニエリスムには入らないのですが、マニエリスムの画家の基礎にもなっているといえるそうです。

ピエロ・ディ・コジモについての人物評が記録に残っています。かなり変わった人だったようです。

彼の神話画が面白い。
人間にとっての文明を説明するのには神話画の方が便利だそうです。

「原始人類の物語」森の火事
アシュモレアン美術館 1500頃
フランチェスコ・デル・プリエーゼの注文か



部分拡大


ピエロ・ディ・コジモ
アンドロメダを救うペルセウス
1510前後 ウフィツィ美術館

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異時同図法で読めます

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目、石にならないように隠してます。



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