諸川春樹先生の特別講座、絵画は劇場になった!-絵画と演劇との関係をめぐって(時間編)が開かれました。
古代の演劇は中世に禁止されたのですが、ロマネスク期に教会の布教活動が活発化し、教会内で「聖史劇」が始まったそうです。そして教会内で演じられていた劇が町の広場で演じられるようになっていきます。
教会内の設備を使って演じられた様子が絵画でわかったり、簡単な特設舞台があったようであったり、絵画と演劇相互の影響が見られたりするそうです。
奥行きの浅い特設舞台が絵に反映されているのではないかと思われるドゥッチョの絵(マエスタの裏側)。
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シエナ 荘厳の聖母子 背面 ドゥッチョ 1308 (講座で例として見せていただいたのは「キリストの復活」と「最後の晩餐」 |
真ん中右の棒を持った人物は舞台監督。
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フーケ 聖アポロニア の殉教 エティエンヌ・シュヴァリエの時とう書より 1452頃 Musée Condé, Chantilly |
町の広場での演劇。スイス、ルツェルン
広場に特設舞台がいくつもあり、観客が順番に回って見る形。
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ルツェルン受難劇の広場の仮設舞台メモ レンワード・サイサットの1583年の劇 |
↑立体書き起こし(リンク)
舞台。右側に地獄を表す怪物の大きな口がある。
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フランスのヴァランシエンヌに聖史劇の舞台。 (1547) |
↓上の舞台と同じ形の建物
祭壇画の裾絵(プレデッラ)の例 ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ 「マギの礼拝」1423 ウフィツィ美術館 |
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メムリンク キリスト伝 1470 サバウダ美術館、トリノ |
トラヤヌス帝記念柱(いろいろな場面が順番に描かれている)、広場での劇(キリストの物語が演じられる舞台を順番に観客が移動して見ていく)、スクロヴェーニ礼拝堂壁画装飾(らせん状に展開されている場面を観者が動きながら見ていく)、異時同図法、など時間の移り変わりを劇や絵画でどう体感させていったかも具体例を見せていただき知ることができました。
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