2025年11月28日金曜日

第5回 レオナルドの《最後の晩餐》(1)

 松浦弘明先生の西洋美術史講座 今回は レオナルドの《最後の晩餐》(1)でした。

 レオナルドの最後の晩餐については ヒット映画 ダ・ヴィンチコードではあっと驚く解釈がありました。一つの絵を見ての想像で作る解釈は楽しいですが 美術史的アプローチとしては その時代時代の絵画の役割、意図をきちんと押さえていかなくてはならないそうです。

レオナルドの「最後の晩餐」のお話に入る前に、レオナルドまでの「最後の晩餐」の図像は誰のために、何を意図して描かれ設置されていたのかを考えていきました。

サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂 (ラヴェンナ)は 一般の人が誰でも入っていける聖堂。建物の中で、この図像のある場所は「聖体パン」をいただく聖餐式の場所のすぐ近くにあります。聖体パンをいただきながら見上げると「聖体パンの描かれている最後の晩餐の図」があるというわけです。

その絵の中にはお魚が描かれていますが、「大きなお皿にのったお魚」を食べようとしているのではないのです。

イエスが祝福するとパンが魚(IXΘIΣ)(XPIΣΘOΣ=救世主と意味が似ているのでキリストを意味する)⇒聖体に変化しました。 つまり、机の上にあるのはお魚 ではなく、「聖体」を意味しているのだそうです。


サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂
ラヴェンナ
 《最後の晩餐》 500年頃

マタイ福音書、ヨハネ福音書などの記述も紹介していただき、 一般の人が見ることを想定して描かれている「最後の晩餐」の図像を見せていただきました。

1170頃
ヴェネツィア サン・マルコ聖堂

ジョット
1305年頃
パドヴァ スクロヴェーニ礼拝堂

レオナルドの「最後の晩餐」は修道院の食堂の壁画です。
同じようにフィレンツェにある修道院の食堂に描かれている「最後の晩餐」を見ていきました。
イエスの手は「祝福」のサインをしています。こちらでは信者の方々に「聖餐式」を行ない、祝福を与える立場の修道士たちが毎日の食事の折に目にする壁画です。ですから、「修道士」の立場で描かれているということでした。

タッデオ・ガッティ
最後の晩餐(下の部分)
1330頃
サンタ・クローチェ聖堂 (フィレンツェ)の修道院の食堂


ギルランダイオ
最後の晩餐
1480頃
オンニッサンティ教会の修道院の食堂にあった

次回 12月12日は最後の晩餐②です。
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