松浦弘明先生の西洋美術史講座 今回は レオナルドの《最後の晩餐》(1)でした。
レオナルドの最後の晩餐については ヒット映画 ダ・ヴィンチコードではあっと驚く解釈がありました。一つの絵を見ての想像で作る解釈は楽しいですが 美術史的アプローチとしては その時代時代の絵画の役割、意図をきちんと押さえていかなくてはならないそうです。
レオナルドの「最後の晩餐」のお話に入る前に、レオナルドまでの「最後の晩餐」の図像は誰のために、何を意図して描かれ設置されていたのかを考えていきました。
サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂 (ラヴェンナ)は 一般の人が誰でも入っていける聖堂。建物の中で、この図像のある場所は「聖体パン」をいただく聖餐式の場所のすぐ近くにあります。聖体パンをいただきながら見上げると「聖体パンの描かれている最後の晩餐の図」があるというわけです。
その絵の中にはお魚が描かれていますが、「大きなお皿にのったお魚」を食べようとしているのではないのです。
イエスが祝福するとパンが魚(IXΘIΣ)(XPIΣΘOΣ=救世主と意味が似ているのでキリストを意味する)⇒聖体に変化しました。 つまり、机の上にあるのはお魚 ではなく、「聖体」を意味しているのだそうです。
![]() |
| サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂 ラヴェンナ 《最後の晩餐》 500年頃 |
マタイ福音書、ヨハネ福音書などの記述も紹介していただき、 一般の人が見ることを想定して描かれている「最後の晩餐」の図像を見せていただきました。
![]() |
| 1170頃 ヴェネツィア サン・マルコ聖堂 |
![]() |
| ジョット 1305年頃 パドヴァ スクロヴェーニ礼拝堂 |
レオナルドの「最後の晩餐」は修道院の食堂の壁画です。
![]() |
| タッデオ・ガッティ 最後の晩餐(下の部分) 1330頃 サンタ・クローチェ聖堂 (フィレンツェ)の修道院の食堂 |
![]() |
| ギルランダイオ 最後の晩餐 1480頃 オンニッサンティ教会の修道院の食堂にあった |

.jpg)


