2024年5月24日金曜日

第4回 ルネサンス美術の定義と特徴、遠近法の発達

 池上英洋先生の西洋美術史講座、今回は①ルネサンス美術の定義と特徴②初期ルネサンス3人の改革者と先駆者を見る③ルネサンス美術の発明と遠近法を知る として画像を交え説明していただきました。

ルネサンス美術の三つの特質としては★空間性(→遠近法)★人体把握★感情表現の三つがあげられます。

また、ルネサンス美術の三創始者は 建築:ブルネッレスキ 彫刻:ドナテッロ 絵画:マザッチョと説明してくださいました。

サンタ・マリア・デル・カルミネ教会
ブランカッチ礼拝堂 壁画装飾
1426-82

向かい合わせにマゾリーノとマザッチョのアダムとイブ。感情表現が違います。また、マザッチョの人体表現は男性は実際の男性をモデルに、女性は古代彫刻をモデルにしています。(女性の実際のモデルはなかなか難しい)

Masolino, adamo ed eva
マゾリーノ 1425頃
Masaccio, The Expulsion
マザッチョ
1425頃
Capitoline Venus, MC 409, Roman, after original by Praxiteles, 4th century BC, view 1 - Musei Capitolini - Rome, Italy - DSC06012
カピトリーノのビーナス
BC2Ⅽ

遠近法はジオットのスクロヴェーニ礼拝堂壁画でも使われていましたが完全なものではありませんでした。

Padova Cappella degli Scrovegni Innen Langhaus Ost 1
スクロヴェーニ礼拝堂
ジオットによる壁画
1304-06
Zairon, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
Giotto di Bondone 004
正面の部分拡大。奥行きのある部屋に見える。
が、実は騙し絵


建築ではブルネッレスキ サンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ。フィレンツェの有名なクーポラの建築方法をyoutube で紹介していただきました。

講座中 動画音声が聞こえなかった方、こちらで再度ご覧ください。


また、ブルネッレスキと争ったギベルティ サン・ジョバンニ洗礼堂の扉、何十年か後に作られた天国の門の方には遠近法がしっかりと取り入れらています。

04 Disputa con i dottori
ギベルティ
サン・ジョバンニ洗礼堂
北扉 部分
1403-24
I, Sailko, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, ウィキメディア・コモンズ経由で

Lorenzo Ghiberti - Esaú e Jacó - Porta do Paraíso

ギベルティ
サン・ジョバンニ洗礼堂
東扉(天国の門)部分
1425-52
ロレンツォ・ギベルティ, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, ウィキメディア・コモンズ経由で
Donatello, Miracle of the Mule, c1446-9, Padua, Sant'Antonio, High Altar (Museo Antoniano)
ドナテッロ
ラバの奇蹟
 c1447-50
 Sant'Antonio, High Altar, Padua, Museo Antoniano
MenkinAlRire, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons


マザッチョの聖三位一体の寄進者の像の大きさ、位置は遠近法によって違和感なく感じられます。


Masaccio trinity
マザッチョ
聖三位一体(1427年頃)
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会(フィレンツェ)

 <この講座を美術が大好きなお知り合いの方にどうぞご紹介ください。>

スマートフォンなどの 共有機能で
このページをお知り合いと共有していただくと講座の紹介が簡単です。
下の共有ボタン使ってもシェアできます


★川崎市民でなくても受講できます

 ※ご参考※

先生のご紹介してくださったYoutubeは 英語ですが、

マークところをクリックすると自動で生成される日本語で見られますので、試してみてください。

(字幕→英語自動生成→自動翻訳→いろんな言語が表示されるのでその中で「日本語」を選ぶ)



2024年5月17日金曜日

第3回 ルネサンス美術の理念

 池上英洋先生の西洋美術史講座、第3回。

人文主義のダンテとペトラルカを見る、ルネサンスの理念と生成理由を知る、そしてルネサンス美術の出現を見ていきました。

12世紀から14世紀にかけてまず政治が変わる→文学が変わる→美術が変わっていくという順番が見られるそうです。

かつて成功した二つの共和制(共和制ローマと古代ギリシア都市国家ポリス)は自由都市国家コムーネの手本となります。(政治)。その後文学や美術でも古代文化を再評価するようになっていくのです。

★ダンテとペトラルカ

Dante Domenico di Michelino Duomo Florence
ドメニコ・ディ・ミケリーノ
ダンテ
(左に神曲 右にフィレンツェ)
1465
フィレンツェ大聖堂
Ritratto di francesco petrarca, altichiero, 1376 circa, padova
アルティキエロ
聖ゲオルギウスによる洗礼
フランチェスコ・ペトラルカの肖像部分
1376年ごろ パドヴァ サン・ジョルジョ祈祷所


★ペトラルカ「凱旋」はダンテの「神曲」についで当時よく読まれた書物なのだそうです。

Lo Scheggia, Trionfo della Fama, 1448-9, Metropolitan Museum, New York

ロ・スケッジャ
1448
メトロポリタン美術館

★イスラム圏に伝えられていた知識や文化がこの時代再び紹介されます。

Ptolemy Muller
プトレマイオス アルマゲストより
1496年制作 1515ヴェネツィアで刊行


ベッサリオンの聖なる十字架(聖遺物) 1460年代 ヴェネツィアアカデミア美術館(リンク)


★ローマ美術の取り込み方は例えばジャポニズムがヨーロッパ美術に取り込まれる過程とよく似ていて、

まずモチーフ→絵画にそのまま取り込む→自分のものにしていく といった形なのだそうです。

例を見せていただきました。

Arco de Constantino, Roma, Italia, 2022-09-15, DD 43
コンスタンティヌス帝の凱旋門
4世紀 ローマ
Diego Delso, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で

Botticcelli, Sandro - The Punishment of Korah and the Stoning of Moses and Aaron - 1481-82
サンドロ・ボッチチェッリ
反逆者たちへの懲罰
1481-82
ヴァティカン システィーナ礼拝堂


Tempio Malatestiano Rimini
レオン・バッティスタ・アルベルティ
<テンピオ・マラテスティーアのファサード>
1450着工  
1468年に未完で中断
リミニ、テンピオマラテスティアーノ



    <この講座を美術が大好きなお知り合いの方にどうぞご紹介ください。>
スマートフォンなどの 共有機能で
このページをお知り合いと共有していただくと講座の紹介が簡単です。
下の共有ボタン使ってもシェアできます


★川崎市民でなくても受講できます



2024年5月10日金曜日

第2回 トスカーナ金融業の発展とフィレンツェ社会

 池上英洋先生の西洋美術史講座、今回はトスカーナ金融業の発展とフィレンツェ社会についてでした。

政治経済の面から芸術のパトロンが変化していったことを説明していただきました。

十字軍の後、地中海域での物流の促進がされ貨幣経済となってきて、商人層が台頭します。

都市が発達し、職人組合のギルドが結成されます。

ギルド、フィレンツェの発展、コムーネ、ハンザ同盟、両替商、貨幣などについて画像や地図も見せていただきました。

オルサンミケーレ聖堂(フィレンツェ)はギルド注文の典型例です。ニッチにはギルドが注文した像が飾られています。

Or San Michele Florenz
オルサンミケーレ聖堂(フィレンツェ)

交易が盛んなったことから通貨のやり取りに両替商・・・金融業が出てきたこと

旧約聖書には外国人には利子をつけていいが同胞には利子をつけて貸してはならない、という記述があるそうです。

Marinus van Reymerswale or Quinten Masys follower - Two Tax Collectors or The Misers, sold Dorotheum 18-12-2017, Lot nr. 38
高利貸し
1540年頃
マリヌス・ファン・レイメルスヴァーレに基づく模写
スティッベルト美術館

ユダヤ人の様子や この聖書の教えをかいくぐって金融業を営む人たちの話。

Cappella Scrovegni enrico
『最後の審判』に描かれたエンリコ・デッリ・スクロヴェーニの肖像画
ジョットと工房、および現地工房によるスクロヴェーニ礼拝堂壁画より
(パドヴァ)1305年頃

La Cappella degli Scrovegni
スクロヴェーニ礼拝堂 外観
Andrea Piroddi, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, ウィキメディア・コモンズ経由で


金融業の息子たちをなぞらえてルネサンス期のトスカーナでは「トビアスと天使」という主題の絵画が流行したとのお話もありました。

Workshop of Andrea del Verrocchio. Tobias and the Angel. 33x26cm. 1470-75. NG London
トビアスと天使
アンドレア・デル・ヴェロッキオ
1470-80
ロンドン・ナショナルギャラリー
<この講座を美術が大好きなお知り合いの方にどうぞご紹介ください。>

スマートフォンなどの 共有機能で
このページをお知り合いと共有していただくと講座の紹介が簡単です。
下の共有ボタン使ってもシェアできます


★川崎市民でなくても受講できます